あいつが死んだ・・・。
この一言が最初の感想だった。
薬害エイズ事件で逮捕され、しかし東京地裁で無罪の判決を受けた元帝京大副学長のAが死去したことが判明した。(注:誰のことかお分かりだとは思いますが、あえて本名を書いていません。思い出しただけで頭にくる名前だからです。)
血友病の専門医でありながら、非加熱の血液製剤を使うことによってHIV感染が広がることを知りつつ非加熱製剤を使わせ、多くの血友病患者をエイズに感染させ死亡させた人物である。
しかしながら、どういうわけか1審では無罪が言い渡された。
そのときのはらわたが煮えくり返るような思いは、未だ忘れていない。
薬は本来、人間の病気を治すためのものである。
血友病を助ける薬であったはずの血液製剤が、結果的には多数のエイズ患者を生む結果になってしまった。
日本以外に、エイズ患者の7割以上が血友病患者だという国はない。
フォトジャーナリストの広河隆一先生がこんなことを書かれていた。
「エイズの問題では、次のようなたとえで考えることがあります。『子供たちが道を歩いています。車が走ってきました。このとき、子供の命を救うためにはブレーキを踏まなければならない』と誰でも考えます。しかしその普通のことを考えた人間が、医者にも薬を作る企業にも、それを監督する厚生省(現厚生労働省)にもどこにもいなかったのです。」
加熱殺菌した安全な血液製剤をいつまでも取り入れず、欧米各国に2年半も遅れて加熱製剤を許可した日本。
それは日本での加熱製剤の開発のための時間稼ぎだった・・・。
たった一部の特定企業の利益のために、そして自分たちがその恩恵を受けるために血友病患者を犠牲にした首謀者、そのAがこの世を去った。Aは控訴されたものの、去年から心神喪失を理由に公判が停止したままになっていた。この控訴審でこそ、極刑を与えてほしかったが・・・。
Aの冥福など祈る気もない。それよりも早く、遅れている二次感染防止、感染者救済を推し進めてほしいと願う。





